【卓球×脳科学】脳科学に基づく卓球の練習法とは?

2020年8月16日

卓球が上手くなるためには、どのように練習を行えばいいのでしょうか?本稿では脳の仕組みを活かした卓球の上達方法を解説しています。

卓球上級者の動きを見ると、自分にはとてもできないと思われるかもしれません。しかし、卓球が上手くなる人というのは正しいルートで練習した人たちのこと。練習方法さえ正しければ、卓球は誰でも上手くなることができます。

 

卓球が上達する練習のメカニズム

卓球は体を動かすスポーツですが、その技能を学習するのは脳の働きです。ということは、脳のメカニズムに合った方法で練習することがより効率的に卓球が上手くなることに繋がります。

始めに、本章のポイントを確認しておきましょう。

 

【point】

・卓球の技術の中核となるのは「感覚」

・脳は繰り返しによって脳神経ネットワークを構築して学習する

・フォームは卓球上級者の動きを後から説明したもの

 

それでは以下で詳しい内容を見ていきましょう。

 

卓球の技術のコアは「感覚」

卓球が上達するための理論としてラケットスイングのフォームを指導するものは多いようです。しかし本当に卓球が上手くなるためには「感覚」を磨くことが不可欠です。

「卓球の技術は感覚」と言われると、つかみどころがないように感じられるかもしれません。ところが、そもそも私たちは体の感覚に頼って日常を生きています。

例えば、歩くときのことを考えてみましょう。赤ちゃんは始めハイハイで移動しますが、ある時からつかまり立ちで立つ練習をして、次第に二足歩行ができるようになります。つまり、始めは二本足でバランスを保つことが難しいのです。

大人が歩くときには体のバランスを一つ一つ意識する必要はありません。二足歩行を一度身に付けると、その後は体の動きが無意識に調節されるようになります。

 

卓球のスイングも自転車に乗ることと同じです。バックスイングやラケット面などを一つ一つ意識する必要はなく、反復練習によって身に付く感覚こそが正確なプレーを可能にする本質です。

 

脳は繰り返しによって自動的に学習する

皆さんは何かを学ぶ時に「一つ一つ意識して覚える」というイメージをお持ちかもしれません。恐らくこのイメージは、学校の試験勉強などからきているのではないでしょうか。一つ一つを考えながら学んでいくことも分野によっていいのですが、特にスポーツはこれでは上手くいかない場合が多いでしょう。

 

まず、脳には「反復練習によって自動的に学習する性質」が備わっていることを押さえておきましょう。人間はあるものごとを繰り返し行うことで、その技能を身に付けていきます

先ほどの自転車の例でも一つ一つの動作を考えて身に付けていくわけではありませんでした。「自転車に乗る」という練習を繰り返すことで自然とその動作に慣れていきます。

 

卓球が上手くなるためには卓球をすること。具体的には繰り返しボールを打つことです。

フォアハンド、バックハンドと反復練習を行うことで脳内では新しい神経ネットワークが組み上げられ、その技術が磨かれていきます。

フォームやラケット面などを細かく意識していると、かえって自然な体の動きにエラーが生じてしまうでしょう。そうすると、打つ瞬間にボールが正確に捉えられなかったり、スムーズなスイングができなくなったりします。

 

上級者は安定したフォームでボールを打ちますが、これは反復練習によってその動作に慣れているからです。フォームという形だけにとらわれると、卓球の上達は難しく感じられるでしょう。

 

卓球の感覚を磨く練習の鍵は「集中」

脳は繰り返しによって学習するため、卓球は繰り返しボールを打つと上手くなることを確認してきました。

本章では、具体的な練習方法を確認していきましょう。始めにポイントをまとめておきます。

 

【point】

・人間は集中している意識状態のとき、学習効率が上がる

・ボールだけに集中することで雑念をキャンセルする

・目の前のプレーに集中すれば、脳はプレーの情報をキャッチして学習する

 

卓球感覚は「ボールに集中する」ことで磨かれる

皆さんは「繰り返し打つだけで上手くなるなら、誰でも上手くなっているはずでは?」と思われるかもしれません。この疑問については前章の終わりで触れたことに関係しています。

自転車に誰でも乗れるように、卓球も誰でも上手くなることができます。ただしこれは「正しい方法で反復練習を積んだ場合」のことです。脳の自然な学習を本人が妨げていると上達はできません。

 

では、どうすれば卓球のプレーの感覚が磨かれるのでしょうか?その鍵を握るのは「集中」です。

人間はある対象に向けて集中している時に学習の効率が上がります。集中状態での学習の効果は、実は皆さん自身も体感しているはずのものです。

 

例えば以下のような例について考えてみてください。

・好きなゲームに時間が経つのも忘れて没頭しているとき

・お気に入りの漫画を読み耽っているとき

「ゲーム」や「漫画」という対象に関心を持ち、没入する。このとき脳は圧倒的なスピードで知識や技術を学習しています。それは、ゲームの技術や漫画のストーリーなどがたちまちにして身に付いていくことからも分かりますね。

 

卓球のプレーにも集中力の働きを活かしましょう。「集中」の実践には、集中するためのテーマ(対象)を設定しておきます。

卓球の場合、プレー中に集中するべき対象は「ボール」です。ボールという一点に向けて意識を集中することで、脳がプレーの情報を受け取り、高速で学習していきます。

 

ボールへの集中で、卓球のプレーそのものを五感で感じる

卓球で脳が学習するべきなのは、卓球のプレーそのものであって、フォームなどの理論を考えることではありません。理論を学ぶことはいいのですが、実際に上手くなるためには現実のプレーを経験しなければならないのです。

現実のプレーを脳が学ぶためには、本人が目の前のプレーに集中をすること。頭の中で考えている時には、目の前のプレーから意識が離れていることになります。

 

そこで「ボールに集中する」というテーマを設定するのです。一点に集中すれば、プレーに必要のない雑念をキャンセルすることができ、理想的な意識でのプレーが実現されます。

ボールに集中し、雑念をカットした状態で反復練習を行うことで、脳は最速で脳神経ネットワークを構築する。その結果卓球のプレーの感覚がどんどん磨かれていきます。

ワンコース、ラリーなどの練習メニューの種類も大切ですが、より重要なのは練習中の「意識」です。

 

「ボールに集中する」ことを実践しても始めのうちは効果が感じにくいと思われますが、気にせず継続してください。早ければ2週間ほどで変化が感じられます。3ヵ月続けられれば、ご自身のプレー中の感覚にポジティブな変化が感じられることと思います。

 

まとめ

●卓球の技術の本質にあるのは「感覚」

●脳は繰り返しによって自動的に学習する

●繰り返しボールを打つと卓球は上手くなる

●「ボールに集中」して練習を繰り返すことで、卓球の上達スピードは加速する