勉強のやる気を最大化する脳科学的な方法とは?

勉強のやる気を最大化する脳科学的な方法とは?

「テスト期間だけど、どうにもやる気が出ない…。」

「受験に向けてもっとモチベーションを上げたい…。」

このように、勉強について誰もが一度は悩むのが「やる気=モチベーション」の問題です。

実は、一生懸命頑張っている状態というのはモチベーションが低い状態です。頑張るという姿勢の裏には「本当はしたくないけど強制されている」という心理があるからです。

本稿では「内発的動機」「外発的動機」という2種類のモチベーションを参考に、勉強のやる気を引き出す方法を解説しています。

脳の仕組みを活かしたモチベーション理論を使えば、「ついつい勉強を進めてしまう!」という状態を自ら作り上げることができます。

 

勉強のやる気を引き出す心理学

勉強の質と量。学習効率も大事ですが、最低限の量をこなさなければ成果は得られません。

では勉強の量をどうやってこなせばいいか?というと、そこには「やる気=モチベーション」が関係します。やる気とは物事を実行するための意欲ですから、勉強を実行することにも不可欠です。

モチベーションさえ高ければ勉強時間が自然に伸び、受験でも志望校に合格する可能性が上がります。

 

勉強のやる気を引き出すポイントはこちらです。

Point

・モチベーションには「内発的動機」と「外発的動機」がある

・「~したい」という気持ちが本当のモチベーション

・「勉強したい」というマインドを作り上げていく

順番に確認していきましょう。

 

「内発的動機」と「外発的動機」

モチベーションは大きく内発的動機ないはつてきどうき外発的動機がいはつてきどうきの2つに分けることができます。これらを簡単にまとめてみましょう。

 

 内発的動機:本人の内側から湧いてくる意欲。「したい」という、好きなことに対する気持ち。

 外発的動機:本人以外による強制。「しなければならない」と頑張るような気持ち。

 

内発的とは内側から生じていることを、外発的とは外側から与えられていることを意味します。

 

2種類のモチベーションのうち、私たち人間がより高いパフォーマンスを発揮できるのは「内発的動機」です。このことは皆さんの経験に照らしても納得できるところではないでしょうか。

好きな漫画やゲームの内容は覚えようとするまでもなくスラスラと頭に入ってきます。「この記憶力が勉強に使えたらな」と思うこともよくありますよね。

 

「したい」と感じることが本当のやる気

モチベーションが高いとは「しなければならない(=have to)」ではなく、「したい(=wanto to)」と感じていることです。先ほどの言葉で言えば、外発的動機ではなく、内発的動機によって動いているとき。

多くの場合「勉強しなければ…」という気持ちを持ちますが、これは裏返せば「本当は勉強をしたくない」ということです。これでは勉強は進みません。

 

人間は「しなければならない」と思っているとき、その行動を実に発想豊かに避けようとします。これは「クリエイティブアボイダンス(創造的回避)」と呼ばれる現象です。

例えば、皆さんには以下のような経験はありませんか?

 

 ・勉強しようと思っていたのに、つい部屋の掃除を始めてしまった

 ・テスト期間で時間があるのに、ついついゲームや漫画に手が伸びた

 

本人としては勉強しようとおもっているはずなのに、ついつい別のことをしてしまい、結局成績はいつも通り。「勉強を避けよう」と意識していなくても、したくないことは無意識に避けてしまいます。

ですから、勉強を「したい」という内側からのモチベーションで行うことが重要なのです。

 

勉強を好きになればいい

人は「したい」という内発的動機によって行うとき、勉強に自然に取り組むようになり、効率も上がる。「好きこそ物の上手なれ」とのことわざの通りで、勉強を好きになることがモチベーションアップの本質です。

「勉強を好きになんてなれっこない」と思われることでしょう。ですが、私たちが持っている好き嫌いなどの価値観は本人にその気さえあれば簡単に変えられるものです。

ではどうすれば勉強を好きになり、自然に勉強が進むようになるのでしょうか?それは脳の仕組みを活かした方法を実践することが重要です。

 

勉強が好きになるやる気アップの方法

前章で勉強は内発的動機、つまり「勉強したい」という気持ちで行うことが大切なことをことを確認してきました。

本章では勉強を好きになり、最高度のモチベーションで邁進するための方法論を解説していきます。止められてもついつい勉強をしてしまうような状態を自ら作り上げていくのです。

 

本章のポイントはこちらです。

Point

・「なぜ勉強をするのか?」と自問自答してみる

・勉強の脳内イメージを書き換えればやる気は上がる

・モチベーション理論はスポーツ、ビジネスなどの分野にも有効

それでは順番に見ていきましょう。

 

「なぜ勉強をするのか?」と自分に問いかけてみよう

突然ですが、ここで皆さんご自身に問いかけてほしいことがあります。それは「自分はなぜ勉強をするのか?」という問いです。

「勉強のモチベーションを上げたい」と考えるということは、本心では「本当はしたくないけど他人から強制されている」と感じているはずなのです。

先ほどにも述べた通り、好きなゲームや漫画は人に止められても自ら行ってしまうもの。したくもない勉強のやる気を上げるということは、自分の人生の選択を他人からの強制によって決めていることになります。

 

勉強について見つめ直して「勉強が嫌でもテストはあるし、将来の進路に関わるから、勉強はするしかない」と考えたとしましょう。

テストや進路選択が理由だとしても、それは本人の選択したしたいことです。勉強をせずにテストの点数が下がるという選択肢よりも、勉強をする方が自分にとってベターだと判断したからこそ、勉強することを選んでいるわけです。

勉強することを選択するのならば、自らの責任のもとで、主体的に学びましょう。「これは他人からの強制ではなく、自分が選んだ行動だ」と自覚することで勉強の効率は上がります。

 

「私は勉強が大好きです」

他人からの強制ではなく自分にとって勉強が大事であるなら、やる気を最大にして取り組みたいところですね。本稿で紹介する方法は「勉強に対する脳内イメージの書き換え」が中心です。

もともと好き嫌いというのは決まっているものではなくて、脳のくせのようなもの。簡単な方法の繰り返しによって、意外と簡単にイメージを書き換えることができます。

 

勉強の脳内イメージを書き換える方法として口ぐせを変えることが挙げられます。

例えば以下のような言葉を日々繰り返してみましょう。声に出さなくても、心の中で唱えるので構いません。

 「私は勉強が大好きだ」

 「勉強は楽しい」

 「私はいつもテストの点数が良い」

本心で勉強が楽しいとは思っていなくても、今起こっていること(現在形)で言葉を唱えることで、脳内では勉強に対してポジティブなイメージが湧き上がります。

 

なぜ言葉を唱えるだけで変化が起きるのでしょうか?それは人間にとって言葉は現実に等しいからです。

例えば「○○大学は優秀な学校だ」などの価値観も、実際には経験していないことを事実として受け入れています。

脳は単純な繰り返しを続けることで変わるものです。勉強について肯定的な言葉だけを選ぶことで、自然に勉強に対する姿勢が前向きなものになっていきます。

 

“ゴール設定”で脳を勉強に向けて起動する

勉強のやる気を引き出す方法としてゴール設定が挙げられます。

ゴール設定とは簡単に言うと目標を設定すること。ポイントを押さえて正しくゴールを設定すれば、私たちの脳が秘めるポテンシャル(潜在能力)が目覚めます。

 

ゴール設定を行うメリットは主に以下の2つです。

 ・目的地を明確にすることで現在行うべきことが見えてくる

 ・必要性が生まれることで眠っていた能力が目覚める

 

ゴール設定の重要性は旅行を例に考えると分かりやすくなります。旅行に行くときはあらかじめ移動手段を詳しく知っていなくても、目的地に合わせて後から調べることができます。

もし目的地が設定されていなければどうなるでしょうか?移動手段を決めるための基準がないため、現在とるべき行動が見えてきません。

 

私たち人間は未来に思い描いたビジョンに向けて行動します。コンビニに行こうと思って家を出るのも、目的地が先にあって後からそれに相応しい行動が引き起こされています。

「積極的に勉強を進めたい!」という気持ちを実現するためにも、勉強という行動が引き起こされるようなゴールを設定することが有効です。目標から逆算することで現在の勉強という行動が引き起こされます。

 

勉強のゴールは大きいほどいい

勉強のゴールを設定するときにはいくつかのポイントがあります。正しくゴール設定を行うことで、皆さんの脳が持っているポテンシャルが引き出されます。

 

ゴール設定のポイントは以下の3つです。

 ・今のままでは達成できないような、現状の外側のゴールにする

 ・自分が心から達成したいと望むゴールにする

 ・ゴールは秘密にする(人に言わない)

 

第一に、ゴールは現状の外側であること。

「目標は身近なものに」という考え方もあります。日々の行動は身近なところからになるとしても、ゴール設定は大きければ大きいほどいいでしょう。

ゴールが遠くであるほどに、現在の自分が成長するための必要性が生まれます。反対に、簡単に達成できそうなゴールであれば脳は「今の自分のまま=現状維持」を選びます。

現在の自分と未来のゴールとのギャップがエネルギー(モチベーション)となります。

 

第二にゴールは「達成したい」という気持ちのものにすること。

ゴールは他人から強制されるものではなく、自分が心から達成したいと願うものにしましょう。前章で内発的動機ないはつてきどうきについて触れた通り、自ら心から望むゴールでこそパフォーマンスが上がります。

 

最後に、ゴールは秘密にすること。

現在の自分からかけ離れた壮大なゴールこそ変化を引き起こす鍵となりますが、周囲の人はそのような大きなゴールに違和感を持つことでしょう。目的地を先に設定することは先ほどの旅行の例からも当たり前ですが、多くの人は過去を基準とする価値観に馴染んでいます。

不要な衝突を避けるためにも、ゴールは自分の中に抱く秘密にしておくことをお勧めします。

 

まとめ

●勉強のやる気は「~したい」という内発的動機で行う

●脳内イメージ(価値判断の基準)は単純な繰り返しで書き換えられる

●「私は勉強が好きだ」などのポジティブな言葉で行動は変わる

●今の自分の延長線上にない壮大なゴールが変化を引き起こす

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