本稿では、英検2級ライティング試験の問題傾向や勉強法を解説しています。
ライティング(英作文)は、英検の試験の中で最も重要なパートだと言えます。なぜなら、2級のリーディング38問、リスニング30問と、ライティング1問のスコア配分が同じだからです。
本文では2級ライティング問題を正しく理解することで、正しい対策法を目指します。また脳のメカニズムを活かした勉強法を合わせて実践することで、「解法+感覚」というハイブリッドな英検対策を提案しています。
英検2級ライティング:問題傾向と採点基準
本章では、英検2級ライティングの問題の傾向や採点基準を見ていきましょう。問題を正しく理解しておくことで、正しい対策の方法が浮かび上がります。
- 「内容」「構成」「語彙」「文法」の4つの観点で採点される
- 2級のライティングは「理由2つ」「80語~100語」が条件
- 1950点満点中ライティングは650点で、リーディング38問、リスニング30問と同じ配点
- 英検2級の英作文は問題に合わせた対策でハイスコアが可能
「ライティング」は英検2級の中でもハイスコアが狙いやすいパート
英検2級では「80語~100語」「理由を2つ」という条件で、英語のライティング(英作文)問題が出題されています(2020年現在)。
英語のライティングというと「難しそう…」と思いがちですが、英検2級のライティングは対策さえすれば高得点が出せるパートです。
ポイントは「問題で求められている通りの形で回答すること」。採点基準となっている4観点からも分かる通り、問題に合わせた内容と構成で書くことでスコアは上がります。
2級のライティングは以下の4つの観点に照らして採点されます。
・内容:課題で求められている内容を答えている
・構成:英文の構成や流れが分かりやすく論理的である
・語彙:課題に相応しい語彙を正しく使っている
・文法:文法的に正しい英文が書けている
ライティングの観点①「内容」
「内容」は、ライティングの問題文で聞かれているテーマに沿った文章が書かれているかどうかを採点します。
問題文の正確な読み取りは必要ですが、テーマを理解し、文章の内容が逸れないように気を付ければ十分カバーできるポイントだと思います。
自分が書いている意見のレベルではなく、問題に合っているかどうかを重視しましょう。
ライティングの観点③「構成」
「構成」は、問題で指定されている「語数」や「理由2つ」などの条件を満たしつつ、英文の流れが自然に書けているかどうかが採点されます。
「英作文の構成」と言われると難しいようですが、英検2級のライティング問題は、問題に合わせたテンプレート(定型文)などを使えば対策ができます。
反対に、英語の作文能力そのものが高くても、英検2級の問題に合っていない文章だとスコアが高くならない場合もあります。英語力そのものが重要なのはもちろんですが、試験の内容に合わせた対策もまた大切です。
2級ライティングの「構成」が完璧にカバーできる書き方については、次章で説明しています。
ライティングの観点③「語彙」
「語彙(ごい)」は、文章の中で適切な英単語が使われているかが採点されます。
難解な英単語を使うことよりはむしろ、自分が自信を持って使えるシンプルな表現を心がけましょう。後述するように、スペルミスなども最小限におさえるようにします。
ライティングの観点④「文法」
「文法」は、英語の語順や表現が正確に使われているかどうかが採点されます。
具体的には「時制(現在形、過去形など)」や「3人称のs」などの表現が挙げられるでしょう。
英検2級ライティング:ハイスコアが取れる「型」と回答の流れ
前章では英検2級ライティングの「問題の傾向」や「採点基準」などを解説しました。
本章では、ハイスコアが取れるライティングの「型」や、試験本番の「回答の流れ」を中心にご説明します。
【Point】
- 2級ライティングの「型」を覚えておく
- 筆記試験の始めにライティングを解くことがお薦め
- 英作文を書き終えたら、「時制」「3人称」「スペル」を中心にセルフチェック
2級ライティングのテンプレート(定型文)を覚えよう
英検2級のライティングで高得点を取るためには、問題に合った「英文の型」を覚えておくことが大切です。採点の基準となる4観点にも「構成」が含まれていて、これは問題に合わせた回答の流れでスコアが上がるものと考えられます。
2級のライティング問題は「80~100語」と「理由2つ」が指示されています。テンプレート(定型文)を覚えておくことで、これらのポイントをカバーすることができます。
英検2級のライティングの型は、具体的にはこちらのようになります。
①[I think / I don’t think…(自分の意見=問題文の引用)]
②[First, (1つ目の理由)]
③[Second, (2つ目の理由)]
④[For these reasons, (①で書いた自分の意見をもう一度書く)]
このような流れで質問に合った英文を書くことができれば、4観点のうち「内容」と「構成」はクリアできます。
また、このような作文の流れは英検のスコアアップだけではなく、説得力のある論理的な文章を学べるものでもあります。自分の意見を始めに述べて、その根拠をワンセットで記述する。
英検だけに使う技術ではなく、英作文や文章についての学びに繋げられると理想的ですね。
筆記試験はライティングからスタートする
問題を解く順番としては、始めにライティングを解く方法をお薦めします。
英検2級の筆記試験の中には「リーディング」と「ライティング」の2つのパートが含まれています。問題冊子の順番では文章の読解問題であるリーディングから始まり、その後に英作文のライティングが出題されています。
ライティングから解き始めることにはいくつかのメリットがります。もちろんご自分の好きな順番で解くのが一番ですが、参考にしてみてください。
【メリット①英作文を始めに解く方が時間配分がしやすくなる】
ライティングを始めに解くことで、時間配分にメリットがあります。
リーディングのパートはマーク式の選択問題です。仮に回答時間が足りなくなったとしても、急いで最後の問題まで記入することはできるでしょう。
それに対して、ライティングは英語での筆記試験です。単語数の指定もありますから、試験時間が残りわずかの状態でライティングを迎えるのは避けたいところです。
【メリット②ライティングはスコア配分が高いため総合点が上がりやすい】
ライティングは1問当たりのスコア配点が最も大きいパートであるため、始めに優先して解くことで総合点も高くなることが期待できます。
始めにも触れましたが、ライティングは1問でリーディングパート、リスニングパートの数十問と同じスコアが割り振られています。
全体スコアの1/3を占めるライティングを最後に急いで回答するのは全体のスコアにもマイナスになります。時間設定をしておき、始めに丁寧にライティングを仕上げておきましょう。
ライティング回答後はセルフチェックを行う
ライティングを書き終えたら、簡単にセルフチェック(見直し)を行いましょう。ここでは完璧な表現を目指すのではなく、ケアレスミスを修正します。
英作文のセルフチェックは主に以下のような項目について行ってみてください。
☑「時制(過去形、現在形、未来形)」が正確に書けているか?
☑3人称単数の “s” が抜けていないか?
☑スペルのミスはないか?
☑”a, an” “the” などの「冠詞」が抜けていないか?
採点基準の4観点には「単語」「文法」がありました。正確な表現を心がけることでスコアは上がりやすくなるでしょう。
英検2級ライティングの脳科学的な勉強法
前章までは英検2級ライティングの「問題傾向」や「解答のコツ&流れ」を解説してきました。ここまでの内容だけでも押さえておけば、ライティング対策として効果があると思います。
本章ではさらに、英語の作文能力そのものを上げる勉強法をご紹介します。英語を学習するのは脳の働きなので、脳のメカニズムに合った方法が最も効率的な英語学習方法です。
ライティングには音読が効果的
ライティングの勉強には音読が効果的です。
音読を正しい方法で行えば、脳は英語を英語のまま処理する回路を作ります。つまり、英語を訳さずに理解できるということです。
声に出してスムーズに英語を読んでいるとき頭の中では日本語に訳すひまがありません。音読は強制的に日本語をキャンセルし、英語を直接理解するトレーニングになるのです。
音読を繰り返せばライティングもスラスラと言葉が継げるようになります。音読によって英語に慣れることは、英語の自然な語順を脳が処理しているということだからです。
「英語の教科書」や「ライティングの模範解答」を脳に刷り込む
音読するテキストとしては「英語の教科書」や「ライティングの模範解答例」がお薦めです。これら以外の英文でももちろん構いませんが、それぞれ以下のようなメリットがあります。
英語の教科書の優れているポイントは視覚情報が使えることです。
教科書は多くの場合イラストや写真とともに文章が書かれています。音読をしながら英文を理解するためのサポートとして映像が使えます。
最終的には文字だけで書かれた英文を読めるようにしていきますが、練習としては視覚情報があるものが効果的です。言葉の意味は状況と深く関わっていますから、発話状況がイメージできる素材を音読して英語を脳内に刷り込みましょう。
ライティングの模範解答を音読することで、英検2級の問題に合わせた文章の流れをトレースすることができます。普段の英語学習からライティングの模範解答を使う必要はありませんが、英作文の勉強としては参考になる文章です。
優れたアウトプットは良質なインプットから生まれる
学校英語や英検では4技能(読む・聴く・書く・話す)のバランスが重視されています。4技能のうち「書く・話す」はアウトプット、つまり外側に向けて表現するものだと考えられます。
英語でのアウトプットは学校の授業でも練習の機会は少なく、苦手意識を持っている方も多いことでしょう。英語でのアウトプット技能を本当に高めるためには、その土台として正しいインプットによる英語学習が必要です。
子どもが母国語を話せるようになるプロセスを考えてみましょう。
生まれたての赤ちゃんは周囲の人の会話を聴く(見る)ことから始めます。そこから「あー」とか「うー」のように発声を始め、周囲の人のまねをしながら話すことを覚えていきます。
会話ができるようになってから文字を覚えて、読むこと、書くことを身に付けます。
つまり[聴く→話す→読む→書く]が、人間が行っている最もナチュラルな言語を身に付ける順番です。
話すためには周囲の人の聴くというインプットが必要ですし、文章を書くことも聴く、読むという言語体験がベースにあって初めてできることです。
ここから分かることは、英検2級ライティングというアウトプットの技能を高めるためには良質なインプットが必要だということです。
では、英語の良質なインプットとは何か?それがこれまで説明してきた英語を英語のまま脳に流し込む勉強法です。
英語を音読して英語のまま脳にインプットする。英語を訳さずにリスニングしたり、シャドーイングをして自分でも発声する。
音声を使えば言葉のリズムや流れが五感を通して感じられますから、作文の文章構成にも役立つでしょう。
前章までのライティング解法と、言葉としての英語の感覚。これら2つを磨くハイブリッドな勉強をしておくことで、英検や定期テスト、受験にも通用する本物の英語力が身に付くでしょう。
まとめ
●英検のライティングは正しい対策を行えばハイスコアが狙いやすい
●2級のライティングでは「80語~100語」「理由2つ」が条件
●採点は4つの観点「内容」「構成」「語彙(ごい)」「文法」について4点ずつ16点満点
●作文は1問でリーディング、リスニングと同じ配点で、1問当たりの配点が最も大きい重要なパート
●テンプレート(定型文)を覚えておく
①[I think / I don’t think…(自分の意見=問題文の引用)]
②[First, (1つ目の理由)]
③[Second, (2つ目の理由)]
④[For these reasons, (①で書いた自分の意見をもう一度書く)]
●音読などの英語の良質なインプットで作文のクオリティは上がる