本稿では、国語が得意になり学校のテストで高得点が取れる6つの方法をご紹介します。
国語は教科の中でも得手不得手が分かれる科目なようです。得意な人は「国語は勉強しなくてもできる」と言いますし、苦手な人は「国語はいくら勉強してもできない」と感じます。
本稿ではテストの成績を上げるだけでなく、言語能力や思考力の向上まで視野にいれた内容がお伝えできればと思います。
国語の成績が上がる6つの勉強方法
国語は中学校の教科の中でも主要五科目の中の一つです。高校でも必須の科目で、現代文、古文、漢文を学習します。
古文や漢文はともかくとして、現代文としての国語科は他に比べるとやや特殊な面があります。というのは、一度基本的な読み書きを覚えれば、初めて目にする文章でも理解することができるからです。数学や理科など各単元ごとに新しい知識や考え方を積み立てていく教科とは異なると言えるでしょう。
この「国語は日本語の読み書きがができれば一通り理解ができる」という点が、学習方法を分かりにくくしていると思います。テスト勉強をするにしても、どこまで知識を覚えたか、どのような問題が解けるようになったかなどが曖昧だからです。
このような背景から「国語は感覚」「勉強の仕方が分からない」などの意見が上がるのでしょう。
では、これから国語を伸ばすためにはどうすればいいのでしょうか?国語力が向上する6つの勉強方法をご紹介します。
1.読書で読解力を上げる
学校の国語が得意になりたければ、習慣的に読書を行いましょう。読書を苦手とする方もいるとは思いますが、避けては通れないものだと思います。
文字で書かれた内容を正確に読み解くためには、繰り返し文章を読んで慣れるしかありません。脳は繰り返しによって刺激された脳神経回路を強化します。文字情報の読解力は「繰り返し読む」ことによって鍛えることができます。
読解力によって伸びるのは国語だけではなく、他の全ての教科についても効果があります。なぜなら教科書やテスト問題は全て文字で書かれており、文字情報を理解する読解力は「学力」とほぼイコールだからです。裏返すと、読解力を上げずに闇雲に勉強しても成績を向上させることは難しいと言えます。
本を読むことから長期間離れている場合、文章の内容が頭に入ってこないと感じる場合が多いようです。ですが一定の期間本を読み続けていると、ある時からは文章を読むのが楽になります。一般的には3ヵ月程度続けることで脳は新たに神経の回路を作り、ある物事に対して熟達します。
人が何かを学ぶ際には「学習曲線」と呼ばれるカーブを描きます。学習曲線は、始めのうちは効果が感じられなくも、継続することで急激に成長することを表しています。
2.音読をする
文章を音読して練習をすると、国語の力がどんどん向上します。先ほどの読書は黙読を念頭に置きましたが、少し時間をとって文章を声に出して読んでみましょう。
黙読は目から伝わる情報のみですが、音読の場合は声を出して、耳で聴く、よりダイナミックな勉強法になります。音読は広く五感に働きかける活動で、脳の様々な領域が活性化することがfMRIなどを用いた実験からも観測されています。
また声に出して読むと、自分の文章の理解度がはっきりと実感できます。文章を区切るタイミングやリズムなどを整えて読もうと思えば、文章の流れが感じられていなければなりません。つまり、音読を繰り返し行ってそれが上達すれば、文章を読み解く感性が磨かれているということになります。
教科書の文章や好きな本の文章を声に出して読み上げてみましょう。スムーズに音読ができることは、言葉が脳内でスムーズに処理されていることの目安になります。ちなみに音読は英語の勉強としても大変優れた方法です。
3.早読みトレーニングをする
音読に慣れてきたら、今度は「早読みトレーニング」を行いましょう。方法は簡単。文章を声に出して、読む速さをどんどん上げていくというものです。このトレーニングを実践するだけで読解スピードが上がり、頭の回転が速くます。
自分が声に出して読める限界スピードまで上げていきましょう。こちらも始めのうちは効果が感じられませんが、続けるうちに脳神経回路が強化され、スピードアップします。読む速度を上げると口が追い付きませんから、ブツブツとつぶやくような感覚で読むといいでしょう。
文章を声に出して読み上げるスピードが上がれば、それだけ読解スピードが上がります。言葉は人がものを考えるときの中核を担いますから、言語スピードの向上は、頭の回転が速くことにも繋がっています。
4.本文の内容に忠実に回答する(テストというゲームに合わせる)
ここまでご紹介した1~3は読解力そのものを上げることで国語の力を高めるというものでした。4番目の方法は、国語の試験問題に対応するための心構えです。
日本の国語科の問題は、正解が一つに決まるタイプの問題が多数を占めています。自由な発想を求めるような問題設定はほとんど見られないと言ってよいでしょう。
このような教科の在り方について賛否があるとことで、一人一人が考えるべき観点だと思います。とは言っても現状定まっていることについては、そのテストのルールの中でスコアを上げる方法も考えておきましょう。
正解が一つに決まると言うことは、問題の回答者全員が同じ答えに辿り着ける問題設定になっているということです。数学は計算を正しく行えば答えが導き出せます。
国語についても本文に書かれた内容に忠実に回答することがハイスコアに繋がるでしょう。これは出題者が正しいということを意味せず、単にテストというゲームの中でのルールです。
文章表現そのものを味わうこと。自分自身の言葉で考え、それを表現すること。
これらは極めて大切なことですが、テストというゲームではルールに合わせて回答するという付き合い方をするのも一つの考え方です。
5.国語のテスト問題をパターン化して整理する
国語に限らずテストの問題にはパターンがあることが多いです。これは先ほどの正解が一つに決まる設問設定とも関係しています。
パターンとは「繰り返し起きる物事において共通している法則性」のこと。6番目で説明する「抽象的思考」にも関係しますが、国語のテスト問題をパターンとして理解します。
国語の場合であれば、本文の内容に合うように文章で回答したり、選択肢を選んだりします。
具体的には以下のような問題に分けることができます。
・本文の内容に合う選択肢を選ぶ問題
・本文から該当する箇所を書き抜く問題
・問題で問われた内容について文章で答える問題
基本的にはいずれも本文の内容に合致するように回答するという点で共通しています。読者の視点でどのように感じるのか、事実であるかどうかは問題ではありません。
テストはあくまで問題作成者の意図通りに答えることでスコアが上がるゲームです。
学校によっては創造性を問う場合があるかもしれませんが、文章中の言葉を回答の根拠とするのがオーソドックスな方法でしょう。
6.「抽象的思考」で国語の枠を超える脳機能を身に付ける
抽象的な思考力を鍛え、国語という教科の枠を超えた脳機能を身に付ける方法です。
抽象的とは具体的の反対の言葉です。ここでは「身の回りの実体がある世界から離れ、高い視点で捉えた現象や考え方」の意味で考えます。
抽象的な思考とは以下のようなものを指します。
・高い視点で物事を観察すること
・より広いグループで物事を捉えること
目の前の世界をただ見つめるのではなく、一段上の視点から考えます。
一匹の猫がいるとすれば、それは具体的に五感で感じられる対象です。目の前の猫をより高い視点で捉えるとどうなるでしょうか?
「目の前の猫」→「猫」→「哺乳類」→「動物」→…
このように、猫を含みながらより大きなグループとして理解することができます。これを抽象化と言ったりします。抽象化すると一つのグループの中により多くのものが含まれている状態になります。
テストのイメージで言えば、様々な問題を同じグループのものとして一挙に解決してしまうような感覚です。
日常のトレーニングとしては「物事に疑問をもって考え、説明ができるようにする」というのも効果的です。
ここでは皆さんお馴染みの「偏差値」を例にとってみましょう。
・「偏差値が高い学校は良い学校だと言えるのだろうか?」
・「偏差値と頭の良さとはどのような関係なのだろうか?」
・「そもそも、偏差値とは何か?」
考えてみた結果、以上のような疑問が湧いてきたとしましょう。そこから自分なりに整然と説明ができるように整理します。疑問を解消するために必要なことを調べるうちに知識も増えます。
疑問を持つ、説明するということは、ある物事について一段高い視点から考えている状態です。これらを習慣的に行うことで思考力が向上し、各教科の内容をスムーズに理解できるようになるでしょう。
まとめ
1.読書で読解力を上げる
→文字情報を正確に理解する読解力が学力の基礎になる
2.音読をする
→声に出して文章を読むことで、五感を活用した動的なトレーニングが行える
3.早読みトレーニングをする
→文章を声に出して速く読み上げると、読解スピード、頭の回転などがアップする
4.本文の内容に忠実に回答する(テストというゲームに合わせる)
→各教科のテストで設問に合わせた回答をするゲーム感覚を持つ
5.問題のパターンを整理する
→テストは設問で問われている内容に合わせて回答するゲーム
6.「抽象的思考」で国語の枠を超える脳機能を身に付ける
→物事を高い視点から考える習慣を身に付けることで脳機能が向上する