【勉強×脳科学】成績が上がるテスト勉強のコツとは?

【勉強×脳科学】成績が上がるテスト勉強のコツとは?

本稿では、中学生・高校生の皆さんの成績が上がるテスト勉強のコツを解説しています。

学校の試験での成績をメインに考えていますが、それ以外の分野にも有効です。ただし、ご紹介している内容はやや時間がかかるもので、テスト直前にはお薦めしません。

またテスト勉強の方法だけではなくテストそのものについても考えてみましょう。「テストとはそもそもどういうものなのか?」という点を整理しておくことで、自分が目指すべき目標もクリアになるからです。

 

テスト勉強の前に「テスト」とは何かを考えよう

これからテスト勉強をするという時に「そもそもテストとは何か?」などと考えていては勉強が進みません。

勉強方法がすぐに知りたい方は、こちらの章を飛ばして頂いても大丈夫です。しかし、中学校や高校で自分が受けているテストについて一度考えておくことは大切です。

 

テストは勉強の成果を測る目安として使う

結論から言うと、テストの点数そのものにこだわらない方がいいでしょう。テストの点数や順位を気にしてしまいがちですが、本来これらの数字にとらわれる必要はありません。

 

「テスト」は英語では【test】。英単語としてのテストは「何かを試す行為」「測るための物」を指して用いられます。

日本語の「試験」という言葉も漢字そのものが「試す」「験す」から成り、どちらも読みは「ためす」です。言葉の意味で言えば、学校の授業で学んだ内容について現在のレベルを「ためす」のが試験です。

 

つまり、本来の意味に照らせばテストの点数自体は目的ではないということになります。テストの点数によってある分野の学習到達度を測り、今後の学びのために活かすのが正しい姿勢でしょう。

 

もちろん一定のスコア以上を獲得しなければ進級ができない、資格が取得できない、などの状況は現実にあります。学校の定期テストの成績も、その後の進路との関係で悩むこともあるでしょう。

しかし現実には、このような理由から離れたテストのスコアそのものについて一喜一憂していることが多いと思われます。結果がその後の進路に関わるような重要な試験よりも、単なる定期テストの回数の方が圧倒的に多いこともその理由の一つです。

 

テストの結果が思わしくなければ今後の行動を改めるしかなく、過去のテストの点数を思い悩むことには意味がありません。自分の目標に合わせて、目標達成のために必要な知識・スコアを得るという姿勢をお薦めします。

 

テストからのフィードバックを勉強に活かす

中学校・高校でテストの点数を追い求めるのは良くありませんが、テストという期日が設定されることで勉強が進むということはあり得ます。

「締め切り効果」と呼ばれるように、ある課題の期限が設定されていることで行動が引き起こされる効果があります。「今のままの点数を測ろう」と何も勉強しないよりは、テスト前だけでも勉強をする気持ちが起こる方が良いでしょう。

 

しかしあくまでテストの点数は学力を測るための手段であって目的ではありません。テスト勉強で身に付く知識だけでなく、試験結果をフィードバックとして未来に活用しましょう。

 

フィードバックとは「結果から原因に働きかける」ことです。テストという「結果」をもとに、それを生み出すもたになった勉強という「原因」の改善を目指します。

 

「今回のテストでどこができて、どこができなかったのか?」

「試験結果を受けて、今後はどのような勉強を行うべきだろうか?」

 

これらを客観的に知ることが試験の本来の目的です。

 

自分でも得意科目、苦手科目という感覚は持っていると思いますが、単元ごとに正確に測ることができるのがテストです。「点数そのものよりも、次に活かすもの」としてテストをとらえていれば、プレッシャーも軽減されるかもしれません。

 

テストで測られるのは勉強全体のうちのごく一部

テストはその時点での学力を測る役割を持つ。しかし学力を測るという役割でさえ、現行の学校のテストには疑問があります。

 

なぜならテストで測られるのは学校の科目という限られた分野で、またその内容も暗記に偏ったものだからです。

中学校・高校で学ばれない分野は数多くあります。勉強が5教科や9教科の中でイメージされること自体が学びの可能性を制限することに繋がりかねません。

また答えが一つに決まるということは、問題を作成した人間の言う通りに答えることが「正解」ということでもあります。

正確な知識を身につけることは確かに重要とは言え、暗記ばかりではせっかくの知識は活かせないものです。

 

私たちが豊かに生きる上で、他者の経験や知識から学ぶことは大切です。ですがそれは暗記した知識を設問通りに答えることではありません。むしろ自ら自由に考えることにこそ本質があります。

勉強ができる人のことを「頭がいい」ということがあります。実際のところ本当に頭の良い人たちは「これまで皆が持っていた常識を打ち破るような、新しい発想をする力」に長けていたはずです。

 

皆さんが現在テストの点数を重視しているとしたら、一度広い視野で考え直してみるのもいいかもしれません。

 

成績が上がるテスト勉強のコツ

前章では身近にあるテストそのものを考え直してみました。知識を身につけることそのものが重要で、またテストのスコアが高ければ進路選択の幅も広がります。

本章では、テストの成績が上がる勉強のコツを解説していきます。中学生にも高校生にも当てはまる内容となっています。

テストという枠にとらわれないようにしながらも、上手につき合うといいでしょう。

 

本章のポイントはこちらです。

 

Point

・テスト勉強の3つのコツ

 ①教科書を通して読むこと

 ②「読解力」を身に付けること

 ③「考える力」のトレーニングをする

・脳は繰り返しによって新しい神経ネットワークを作る

・脳機能を高めることと、勉強効率を上げることを両立する

 

それでは各ポイントについて詳しく説明します。

 

テスト勉強のコツ①教科書を通して読む

テスト勉強の一つ目のコツは「教科書を最初から最後まで学期の始めに読んでしまうこと」です。

冒頭でも書きましたが、この方法はテスト直前に行うのには向いていません。学年が変わって教科書が配られてから、時間を取って教科書を読み進めましょう。

 

理想は全教科の教科書を読むことですが、時間的に難しいこともあるでしょう。時間が取れないという方はいくつかの教科にしぼって読むのでいいでしょう。

新しい教科書の内容ですので理解できないところがあってもOKです。精細に読み込まなくても各単元のテーマを理解しておくだけで効果があります。

 

 

教科を選んで行うとすれば、優先するのは「数学」「英語」でしょう。その後に「理科」「社会」が続きます。

一つ目の理由としては、数学と英語は中学校・高校入学をきっかけに苦手になる場合が多いからです。中学、高校に入学すると勉強のペースが一気に上がり、ついていけないことがあります。

二つ目の理由は、前後のつながりが重要な教科ということ。国語は科目の中では重要視されるとは言え、教科書を最初に読むメリットは比較的小さいでしょう。

 

以上のように、数学と英語を中心として順調なスタートを切れば、以降の勉強は楽になるはずです。他には自分が特に得点を上げたい教科を優先するおこともお薦めです。

 

教科書を始めに読む勉強法のメリット

教科書を始めに読んでおくメリットは以下の2つです。

 

 ①授業が復習になる

 ②全体像=ゲシュタルトを作ることができる

 

【メリット①授業が復習になる】

教科書を最後まで読むメリットの一つ目は、学校の授業が全て復習になることです。教科書を事前に読んでおけば、授業はすべて一度見ている内容になります。

 

一度目を通しておくだけでも、時間を空けて後で勉強するときは分かりやすくなるものです。先ほど書いた通り、各単元の要点だけでも目を通しておけば学習する内容の大きな流れがつかめます。

 

学習後に時間を置くことで学んだ内容が熟成されるような効果も期待できます。

皆さんは「レミニッセンス効果」をご存知でしょうか?レミニッセンス効果とは、寝る前に学んだことが睡眠中に整理される現象です。

睡眠中は意識して物事を考えているわけではありませんが、寝ることで学習内容が整理され、定着します。学習が意識だけでなく無意識下でも行われている例だと言えるでしょう。

 

「勉強」というと一つ一つ覚えるようなイメージがありますが、気が付かない所で脳が勝手に学習するということは実際にあります。一度教科書の内容にアクセスしておくことで、自然とそれぞれの単元での内容が分かりやすくなるでしょう。

 

【メリット②ゲシュタルト=全体像を作ることができる】

二つ目のメリットはゲシュタルト=全体像が作られることです。ゲシュタルトは「統合されたまとまり」のことです。

ゲシュタルトではここのパーツがそれぞれに繋がり、部分を足し合わせた合計よりも全体が大きくなります。言葉での説明だけでは実感が湧きづらいので、具体例を見てみましょう。

 

●ゲシュタルトの例①「パズル」

パズルはゲシュタルトの例の1つです。ピースの一つ一つは意味を持たないように見えるのに、組み合わせると1つの大きな絵=全体像を描き出します。

ピース同士がお互いに関連して、統合されたゲシュタルトを作り出しています。

 

●ゲシュタルトの例②「小説」

小説も全体像の仕組みが分かる例です。物語の途中では分からなかったところが、最後まで読むことで「あの場面はそういうことだったのか!」と分かります。

全体の物語を理解することで先に読んでいた部分の繋がりが認識でき、理解がより深まっています。

 

一つ一つの知識は他のものと繋がりより深く理解することができます。ある単元を理解するときに、他の単元を学んでいることでより分かりやすくなるということです。

 

ゲシュタルトの例は学校の教科の中にも見ることができます。

「割り算」は先に「掛け算」を学んでいるからできるようになります。「公民(政治・経済)」は、「歴史」「地理」を学ぶことでよりレベルが上がります。時代背景や周辺地域との関係が掴めるからです。

点と点を繋いで線を結んでいくように、繋がりを持った全体像が見えると、一つ一つの部分もよりレベルが上がります。

 

先に「数学」「理科」「社会」などの教科書を優先して読むと良いと書いたのもそのためです。

数学は一つの計算方法を別の単元でも使ったりします。また、式とグラフ、図形などはそれぞれ関連が強いものです。

理科も物質の働きやエネルギーは、生物の営みにも関係していたりします。社会も前後の歴史の流れは繋がっていますし、地理と歴史、公民はすべて密接にかかわっています。

前後の繋がりが大きい科目は、全体像を掴むことが特に大切です。

 

テスト勉強のコツ②「読解力」を身につける

テスト勉強を行うために不可欠なものが「読解力」です。こちらもテスト直前に即効性があるものではありませんが、本質的な学力を上げるために大切なものです。

 

読解力と学力はほぼイコールです。偏差値が高い人は読解力が高い傾向があり、低い人は読解力が低い傾向があります。

偏差値にも問題点があるとは言え、基本的な読解力が学力に直結しているということはデータを通してみた事実です。

 

読解力が重要なことは感覚としても理解できるところでしょう。

先ほど教科書を読む勉強法をお薦めしましたが、教科書はすべて文字で書かれています。テストの問題文も文字です。

このように考えると、勉強の中に「文字で書かれた内容を正確に理解して記憶する」ということがあらかじめ含まれていることが分かります。

 

授業の内容を映像で理解することもある程度はできますが、それでは補えないところもあります。まず、映像化されている内容には限りがあること。そして映像では前頭葉(理性や思考をつかさどる脳の部位)が活性化しづらいことが挙げられます。

テレビの映像を見ると、動物も状況を理解することができます。しかし動物が文字に反応することはありません。

 

文字情報を読み解くことそのものが人間の知性の中枢である前頭葉が活性化する行為だと言えるでしょう。

脳の部位を覚える必要はありませんが、文字を読むことで脳が鍛えられるという点は押さえておいてください。

脳は繰り返し刺激を与えることで新しい神経ネットワークを作り、どこまでも学習していきます。文章を読むことを続けてるうちに脳機能が上がっていくことでしょう。

 

テスト勉強のコツ③「考える力」のトレーニングをする

「考える力」を日常的にトレーニングしておくことで、テスト勉強の内容もすらすら理解することができます。

テストは「勉強の方法」も大事ですが、自分の理解力・思考力そもののを高めることも大切です。考える力、というとあらかじめ決まっているようなイメージがあるかもしれませんが、後からいくらでも伸ばすことができます。

 

考える力を伸ばす方法はとても簡単で、「繰り返し考えること」です。

前述の通り脳は反復練習で強化されていきます。自転車の練習のように、考える力は何度も考えることで身に付いていきます。

身の回りの物事について自分なりに思考を進めていくことで脳はどんどん活性化します。

 

考えるときには以下のポイントを参考にしてみてください。

 ・「なぜ?」という疑問を持つ

 ・説明ができるように考える

 

自分で物事を考えるとは、高い視点で解釈を行うということです。他人の価値観をそのまま受け入れていては考えていることにはなりません。

 

例えば「進路選択」を例に考えてみましょう。

「あの学校は偏差値が高いから、あそこに行きたい」と思うことは、考えているとは言えません。誰かから伝え聞いた価値観で判断しているだけです。

これに対して「なぜ自分は偏差値が高い学校がいいと思ったのだろうか?」「偏差値とはそもそも何か?」と、一つ高い視点から疑問を持って考えることが大切です。

自分で考えを深めていって、説明ができるくらいを目安にしましょう。

 

こうした疑問を持ち、その問題について感がることで考える力が鍛えられます。解決のために必要な知識を調べることにも繋がるでしょう。

ある物事を説明をするためにはそれについて整然と理解ができていなければなりません。勉強についても「これはどういうことか?」と自分に説明をする感覚で考える練習を続けると、本質を理解する力が鍛えられます。

 

多くの人は自分で考える習慣が身に付いておらず、思考停止の傾向があるようです。物事について自分で疑問を持って考えなければ、人生の価値判断を他人のモノサシに任せている状態になりかねません。

 

考える練習をしていれば、物事を賢く判断できるようになります。

立体迷路をイメージすると分かりますが、正しい道筋が分かる人というのは高い視点から迷路を見つめている人です。迷路の中で壁を見つめている人には活路を見出すことは難しく感じられます。

人間は頭の中でいくらでも高い視点から思考を行うことができます。日々考える力をトレーニングしていれば、勉強の内容がたちどころに理解できる脳が手に入ります。

 

まとめ

●テストは何かを試したり、測ったりするためのもの

●テストは自分の目標達成のための「手段」として付き合う

【テスト勉強法】

①教科書を通して読む

②「読解力」を身に付ける

③考える力を身に付ける

●脳機能のトレーニングを習慣化すると、テスト勉強がスムーズに進むようになる

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