本稿では、勉強のやる気がアップする方法を解説しています。
勉強で多くの人が課題とするのが「モチベーション」です。受験や定期テストの勉強をしようしようと思いながらも、なかなか手につかないという経験は誰しもあるものでしょう。
モチベーションの問題は、これさえ解決してしまえばどこまでも勉強を進められると見ることができます。目標へと向けた行動を自ら自由に引き起こすことができるからです。
今回ご紹介する方法は特に、誰でも簡単に使えて「即効性」がある方法をご紹介しています。
勉強のやる気アップの理論
勉強のモチベーションを上げるためにはどうすればいいのでしょうか?始めに本章のポイントを押さえておきましょう。
Point
・「やる気」とは物事を行うための言葉の働き
・好きなことをするのが本当の意味でのモチベーション
・「勉強したい」というマインドを作れば自然に勉強は進む
具体的な方法は次章に譲るとして、以下では「やる気」についての理論的な説明をしておきたいと思います。理論を知っておくことで実践の効果がより高くなるからです。
「やる気」とは何か?
「やる気」とは何なのでしょうか?
やる気は「物事を行うための心の働き」を意味する言葉です。「やる気」の「気」という字は、「気持ち」や「気分」という言葉にも見られるもの。
イメージしやすい言葉で言えば「マインドの働き」として捉えることができます。
マインドの働きということは、言い換えればやる気は脳の働きのことです。
これは「最も効果的なやる気アップの方法」=「脳のメカニズムに合った方法」だということを意味します。
人の脳に共通しているメカニズムを使うことができれば、誰でも「やる気」を引き出すことができます。
「やる気」を引き出す脳のメカニズム
勉強のやる気というと「頑張ること」や「努力」をいかに続けるかというイメージをお持ちかもしれません。
しかし頑張っている時はモチベーションが低い状態です。
本当の意味でのやる気は、周囲に止められてもついつい行ってしまうような状態のことです。
好きな漫画を読んでいる時や、ゲームをしている時。周囲に止められてもついつい行ってしまう感覚こそが高いモチベーションの証拠です。
勉強のやる気があるとは、ついつい勉強をしてしまうような自然なモチベーションを意味します。
「頑張る」や「努力」の裏には「本当はしたくないことだが、誰かに強制されている」という意識が含まれています。
ゲームや漫画に何時間も熱中していて、「凄いやる気だ!」「あなたは努力家ですね」などと言われることはありません。
物事に取り組むといういみでは、ゲームや漫画を行うことも同じです。人間が本当にやる気が出ているのは「好きなことをしているとき」。
これこそがやる気に満ち満ちている状態ですが、本人にはもはや「やる気」という言葉すら不要です。
勉強のやる気アップの方法も「勉強が好きになる方法」こそが効果的。
頑張って勉強をしている時点で、「本当は勉強から離れたい」という意識が働いています。勉強をしていることが心地良いという心理を作り上げれば、自然と行動が引き起こされるようになります。
次章で脳の働きを利用したナチュラルなやる気アップの方法を見ていきましょう。
簡単!勉強のやる気アップの方法
簡単にできてすぐに効き目がある勉強のやる気アップの方法をご紹介します。始めに本章のポイントを押さえておきましょう。
・「笑顔」「ポジティブな言葉」で勉強の脳内イメージを書き換える
・イメージは固定的なものではなく、自由に書き換えることができる
今回ご紹介するのは単純な方法ですが実践すると効果があります。方法は以下の2つです。
①笑顔で勉強する(作り笑いでもOK)
②「勉強」の脳内のイメージを書き換える
順番に見てきましょう。
①笑顔で勉強する(作り笑いでもOK)
この方法は、勉強をしているときに「笑顔を作る」だけです。そうすると自然に勉強が楽しく感じられるようになります。
人前で行うのは難しいので、自室で勉強ししているときに試してみてください。
なぜ笑顔で勉強すると勉強が楽しくなるのでしょうか?それは脳の仕組みから考えてみると分かります。
脳は頭蓋骨の内側に納まっていて、常に暗闇の中にいます。人間にとっての「現実」は脳が生み出す「情報」ですが、脳そのものは外の世界に触れることすらありません。
ではどうやって脳は外界の情報をキャッチしているのでしょうか?
答えは「体」。脳が外の世界を知るためには、体=五感を通して入力される情報に頼るしかありません。
脳は体に頼って外の情報を得ている。このことを前提に、勉強中に笑うことについて考えてみましょう。
勉強中に顔が笑っているとき脳にとっては何が起きていることになるのでしょうか?
頭の中の暗闇で、情報を受け取っている脳の気持ちになって想像してみてください。
・自分→勉強をしている
・顔→笑っている
「勉強」と「笑顔」という情報が、同時に脳に送りこまれます。笑っているということは、「笑顔になるための楽しい理由」があるはずです。
「自分は今勉強をしていて、笑顔になるような楽しい理由がある…」
そこで脳は「勉強が楽しいのだ」と認識します。その結果、本人には本当に勉強が楽しく感じられます。
冗談のような話ですが、これは実験でも確認されていることでもあるのです。脳は矛盾を避ける性質があり、一つのつじつまの取れたストーリーを自動的に作ろうとします。
勉強中に笑うだけで、勉強が楽しくなる。前章で説明したような、好きなことを行うときの自然なモチベーションが湧き上がるようになります。
②「勉強」の脳内イメージを書き換える
こちらの方法は①の笑顔を作る方法と本質的には同じことをしています。
「つまらない」と思いがちな勉強のイメージを、「面白い」というポジティブなものに自ら書き換える方法です。
「言葉」で勉強のやる気がアップする方法
先ほどは体を使った方法でしたが、ここでは主に「言葉」を使った方法をご紹介します。
言葉をコントロールすることで、勉強が自分にとって「楽しいもの」「面白いもの」と感じられるようにします。
物事に対するイメージは固定的なものではありません。イメージは自分次第で自由に書き換えることができます。
勉強のイメージを書き換える方法は簡単。「ポジティブな言葉を使う」ことを習慣にするだけです。
勉強や、勉強をする自分について、肯定的な言葉だけを使うようにしましょう。
他人に刷り込まれるのはよくないですが、自分が設定した目標達成のためなら言葉は強力な味方になります。
参考までに、勉強についての言葉をいくつか並べてみます。
「私は勉強が大好きだ」
「勉強は面白い」
「私は成績優秀だ」
これらは皆さん本人の言葉ではありませんから、ご自身の目標・目的に合わせて利用してください。いいイメージを作り上げるための言葉の基本的なルールがあります。
①「一人称」→「私は~」という言葉で始めること
②肯定形→ポジティブな感情が湧き上がるような、肯定的な表現にすること
③「現在形」→既に起きている内容にすること
これらの条件を満たした表現にすることで、言葉の内容が「自分自身に今起きていること」として感じられます。現実世界で起きていないことを、言葉で既に体験しているかのように感じている。
言葉で「現実」と「イメージ」の間にギャップを生み出すと、脳が自動的にその差を埋めようとします。
上に挙げた言葉には、勉強にポジティブなイメージを持つための言葉と、高い自己イメージを作るための言葉の両方があります。
勉強が楽しくなると、モチベーションは自然に上がります。そして自己イメージが上がることでも、高い自己評価に合わせた行動=勉強が自然と引き起こされます。
上記のような言葉を日々繰り返していると、脳が次第に新しい価値観を受け入れ始めます。繰り返しが大切です。
また、ネガティブな言葉を使わないということにも気をつけましょう。ネガティブな言葉が多いと、ポジティブな言葉による書き換えが上手くいきません。
自分が使っている言葉を日々観察しましょう。
ネガティブな言葉を減らしていき、ポジティブな言葉を増やしていきます。言葉は実際に口に出しても、頭の中で唱えるのでも構いません。
勉強しながら行うのもお薦めです。勉強中に笑うことと同じで、勉強を「楽しいもの」として脳が感じるようになってきます。
なぜ「言葉」で勉強のやる気が湧いてくるのか?
言葉を変えるだけで、勉強にやる気が湧き上がり、成績が上がる。
これだけ見ると信じられないように感じるかもしれません。言葉が人間い与える影響を確認しておきましょう。
理論として納得しておくことで、やる気アップ法の実践にも身が入るはずです。
人間は言葉から大きな影響を受けながら生きています。
言葉による影響は、本人に自覚があるかどうかは関係がありません。例えば「○○大学に行きたい!」という意欲も、その出どころを見ると他人からの言葉が基になっていることがほとんどでしょう。
本人はその大学での生活を体験していないのに、「○○大学は良い」という価値観を持っている。これは外部からの情報によるものであり、情報とは言葉であることが多いと思われます。
人が持つ価値観は不変のものではなく、言葉によって書き換えられていくものです。言葉で価値観が作られているのならば、言葉で物事のイメージを書き換えることは可能です。
使う言葉が変われば、勉強のイメージが変わる。自己イメージが変わる。脳内に湧き上がる肯定的なイメージは、目標達成へと自分を導いてくれるでしょう。
まとめ
●本当のモチベーションは、止められてもついついしてしまうような好きなこと
●勉強が面白く感じられればやる気は自然と湧いてくる!
●勉強が楽しくなるやる気アップの方法は2つ
①「笑顔で勉強する」→顔が笑っていると感情も体と一致するように脳が働く
②「勉強の脳内イメージを書き換える」→言葉によってイメージや感情が引き出され、勉強にプラスの印象を持てる
●脳の仕組みを活かして、目標達成をプログラミングする