本稿では、脳科学の知識をベースにした中学英語の勉強法を解説しています。中学生の勉強を念頭に置いていますが、中学英語を復習したい方にも参考になる内容を心がけました。
中学校の教科の中で、特に英語は勉強の方法が重要なものです。知識を覚えればテスト問題に回答できる教科と違い、英語は「言葉として内容を理解する力」を身につけなければなりません。
言葉を覚えるのは脳の働きです。脳のメカニズムを活かした英語勉強法を実践することで本物の英語力が身に付き、成績も自然に上がっていくことでしょう。
中学英語を言葉として学ぶ勉強法を身に着けよう
現在では英語は小学校から学習が始まり、中学校からは必修科目として学ばれています。多くの中学生は「英語」や「数学」に苦手と感じているようです。
学校の教科としては長く必須となりますし、またスキルとしても重要視される英語。英語を効率よく勉強するにはどうすればいいのでしょうか?
本章のポイントはこちらです。
【Point】
- 中学英語は教科としてではなく、言葉として学ぶ
- 英語が得意になるためには英語に慣れることが大切
- 脳は繰り返しによって自然と英語を処理するようにできている
それでは、具体的な内容を見ていきましょう。
中学英語は「教科」としてではなく「言葉」として学ぶ
英語は中学校の教科である前に、海外で話されている言葉です。これは当たり前のようですが、学校で英語を勉強していると言葉としての学びからついつい離れてしまいがちです。
中学校の英語が本当にできるようになるためには、言葉としての英語力を磨くことが大切です。
この記事をお読みの皆さんにとって最も馴染みがある言葉は「日本語」でしょう。外国語である英語を学ぶときにも、一番得意な日本語について考えることで自然な勉強方法が見えてきます。
では日本語をどのように身に付けたのかと言えば「周囲の人が日本語を話すのを聴いているうちに自然と身に付く」というプロセスです。
●日本語を話しているところを見る・聴く→聴こえてきた日本語の音を発声する
→体験を通じて会話が上手くなる→文字の読み書きを覚える
母国語を学ぶ順番は上のような流れになります。大量の日本語を聴くことを通じて、脳が自然に日本語を学習していることが分かりますね。
日本語が話せることから分かる通り、人の脳は自然に言葉を学ぶように出来ています。言語の才能は誰でも持っているものなのです。
また子どもが言葉を学ぶときの順番は、「会話」が先にできるようになり、その後で「文字(読み書き)」を覚えるというものです。これは外国語を学ぶ時にも参考になります。
中学英語は「文法」よりも「英語に慣れること」
中学校の英語ができるようになるためには、英語に慣れることが大切です。脳は繰り返しによって物事に慣れていきます。
例えば、自転車を例に考えてみましょう。
自転車に初めて乗った時には上手くバランスが取れず、前に進むことができません。ですが、練習を繰り返すことで運転に慣れてきます。このとき運転の仕方を一つ一つ覚える必要はありません。
英語の勉強も、自転車のような練習が大切です。
英語のリスニングやリーディングを繰り返すことで脳は英語に慣れ親しみ、自然に上達していきます。細かい文法ルールを暗記していなくても、練習を通じて英語を理解できるようになるのです。
繰り返しによって言葉が身に付くことは、日本語の場合でも同じでしたね。
中学英語が本当に得意になる勉強法
前章では、中学英語が分かるようになるための基本的なポイントを解説しました。
本章は具体的な英語の勉強法を紹介していきます。ポイントはこちらです。
【Point】
- 英語を英語のまま理解するトレーニングを行う
- 英文を音読することで、脳が英語を学習する
- リスニングで英語の音やリズムに慣れる
学校の英語を学ぶためにも、英語を言葉として理解する練習を行います。方法はシンプルで、繰り返し英語に触れることで脳に情報が送られ、自然に英語に慣れることができます。
具体的な勉強法は以下の2つです。
①英語の教科書を繰り返し音読する
②リスニング・シャドーイングを行う
英語の教科書を繰り返し音読する
中学英語を勉強するには、中学校の教科書を音読することがお薦めです。
音読は、英語の勉強法として強力な効果があります。先ほど説明した英語を練習する学習方法です。
音読は文章を声に出して読むということで、学校の勉強のイメージとは違うかもしれません。しかし、英語が苦手な中学生が音読を継続して行っただけで、一番の得意科目になった例もあります。
音読のメリットとしては主に以下の2つが挙げられるでしょう。
①英語を英語のまま理解する力が身に付く
②声に出して読むことで、英語のリズムや流れが掴めるようになる
英語の音読を繰り返し行うことで、英語が英語の語順のままで流れていきます。頭の中では日本語に訳すひまがありません。
始めのうちはスムーズに読めませんが、何度も文章を読んで練習しましょう。教科書がスラスラ音読できるようになってくると、英語がすらすら理解できるようになります。
英語の語順のままで理解ができる。これはリスニング力の向上にも直結します。リスニングは音声のスピードについていく必要があり、日本語に訳していては間に合いません。音読はリスニングの勉強にも直結しています。
また、声に出すことで英語のリズムや文章の流れを自然に学ぶことができます。「文章の区切りが分からない」「読み方が分からない」など、音読が上手くできない時には改善点がクリアになります。
英語の教科書は会話のイメージがつかみやすい
音読の教材として中学校の教科書を薦める理由は主に2つです。
①写真・イラストなどの視覚情報で状況がイメージしやすい
②中学校の英語の単元に沿った内容で作られている
音読は教科書でなくても英語力アップに効果的です。しかし、教科書はイラストや写真があるため状況がイメージしやすく、練習に向いてます。
先ほど確認したように、子どもは周囲の人が話すところを見て意味を覚えていきます。会話の状況がイメージできることは言葉を学ぶときに大切なのです。
また、教科書の内容は中学校で学習する内容に沿って作られています。文章を読んで練習することが、そのまま定期テストや受験に役立つトレーニングになるでしょう。
英語の長文・短文の両方を音読して練習しよう
英語の教科書には、長文と短文の両方が盛り込まれていることが多いと思います(採用されている教科書によって異なります)。長文と短文は、両方とも音読をして練習しましょう。
長い文章を読んで練習を行えば、文章全体の流れを理解する力が磨かれます。
短めの文章は、各単元の学習事項が確認できます。「疑問文」「否定文」「現在進行形」など、それぞれの表現の特徴がまとめられている文章です。
教科書の文章がスラスラ読めるようになったら、それは英語の語順に慣れてきている一つのサインです。
英語のリスニングを行う
音読だけでも英語学習には効果的ですが、音声を使ってリスニングの練習も行いましょう。中学校の英語の授業だけではリスニングの時間が短くなりやすいため、自分で英語を聴く時間を取るようにします。
前述の通り、人間が言葉を学ぶときに音から入って、会話ができるようになってから初めて文字を学びます。このように見ると、言葉の学習には音が大切なことが分かるのではないでしょうか。
リスニングにもいくつかの方法があります。
①英語の音だけを聴く
②文章と照らし合わせながら英語を聴く(アイシャドーイング)
③英語を聴きながら、自分も後について声に発生する(シャドーイング)
音声だけで行う場合は、音だけに集中できるというメリットがあります。文章と照らし合わせながら聴く場合には、目で見る情報と耳で聴く情報、五感を働かせて英語を学ぶ効果があります。
音声を真似して発声するシャドーイング練習では、自分の発音やイントネーションの練習にもなり、英会話の練習としても効果的です。
音読とリスニングを組み合わせて練習を継続しましょう。続けることで英語の力はどんどん伸びてきます。
中学校の英語テストに合わせた勉強もしておく
ここまで「音読」や「リスニング」など、練習を中心とした勉強法をご紹介してきました。練習を継続することで、脳が言葉として英語を学んでくれます。
しかしこれらだけでは、学校のテストや受験での問題がカバーしきれない場合もあるかと思います。英語がネイティブ(母国語)レベルでできる人でも、日本の英語のテストの問題は解きにくいことがあるそうです。
そこで、テストなどの出題傾向に合わせた勉強で補っておきましょう。テストに合わせた勉強を行うにしても、練習によって培われた英語力は役に立ちます。
英語の文法とは簡単に言うと「語順」のことですが、音読やリスニングで英語の語順に慣れている人は感覚として文法が理解できるようになります。
英語を理解する基礎を身に付けておくことで、あとは必要に応じてテスト対策をすればハイスコアが取れるようになるでしょう。英語を正しい方法で勉強すると、間違った方法では決して到達できないようなレベルにまで英語力を引き上げることができるのです。
終わりに
この記事では中学英語の効率的な勉強法をご紹介しました。細かい単語や文法については触れていませんが、勉強法が正しければどの単元でも言葉の本質的なところが学べます。
英語の勉強法を通して感じてほしいこと。
それは、「人間は方法次第で何事もできるようになる」ということです。
音読やリスニングなどの方法で、英語を英語のまま言葉として学ぶ。このような練習を中心とした勉強法にシフトしたとき、英語の力は大きく伸びます。
勉強方法しだいで英語力が伸びる経験を得ることができれば、それは英語以外のことにも良いことがあります。「成功体験」があれば、今自分がでいないこともできるかもしれない、と思えます。
もちろん、英語を含めて人に苦手なことがあるのはOKなことです。できないことでもとらえ方次第で気持ちが変わることもあります。それを知った上で、自分の中にある可能性が感じられれば理想的です。
まとめ
【中学英語の心構え】
●中学英語は教科としてではなく言葉として学ぶと上手くいく
●中学英語ができるようになるためには英語に慣れること
●繰り返し英語に触れることで、脳は英語に慣れていく
【中学英語の勉強法】
①教科書を繰り返し音読する
②リスニング&シャドーイングを行う
●英語の音読をすると、英語が英語の語順で理解できるようになる
●リスニングやシャドーイングで、英語の音やリズムに慣れ親しむ